年季の入ったガット/クラシックギターの再利用〜ラップスチール風に改造
ハードオフやフリマサイトで年季の入ったクラシックギター/ガットギターをよく見かけますね。
長い年月を経て味わい深い見た目になっているものの、トラスロッドがないのでネックが強烈に順反りをしていたりブリッジが剥がれていたりと、修理しづらい所ばかりに不具合があることが多く手を出しづらいです。この手のギターは需要が少ないのかエレキギターやアコースティックギターと比べて安めに販売されています。
古いギターをリユースする一つのアイデアになればと思い、ラップスチール風に改造することを考えました。
ラップスチールギターについて
スチールギターはハワイアンやブルーズ音楽で使われる「ほわわーん」といった感じで音階の境目が薄いあの音色のギターです。
ラップスチールはスチールギターの一種で、ギターを膝の上に仰向けに載せて演奏するタイプのものです。
演奏者はスライドバーを付けた左手の指で弦を押さえて音程調整するためフレットがありません(フレットが有っても触れないように演奏します)。
改造の経緯
冒頭の通り、安いのに状態がよくないクラシック/ガットギターの使い道を検討し、、
- ネックが順反り → 弦高が高い → スライド奏法なら高くても問題ない
- ブリッジはがれ → テールピースでブリッジに負荷がかからなければよい
と考えてラップスチール化を試すことにしました。Amazonを見ていたら使えそうなパーツが手ごろな価格だったのも理由の一つです。
改造手順
もし改造を試す場合はけがに注意し、自己責任でお願いします。
またAmazonの参考リンクを載せていますが価格が変動しますので検索して安いものを探して下さい。
用意するもの
- クラシック/ガットギター
クラシック/ガットギター本来の弾き方はしないので程度は問いませんが、ネック折れ、ボディ割れ、ネックヒール剥がれ、ペグ欠品・故障の個体は避けた方がよいです。私が改造ベースにしたのは大好きなルナ楽器というメーカーのBELLAMEブランドのクラシックギター G-250です。ハードオフで購入したこのBELLAMEですが順反りがきつくてブリッジ浮きがあったため改造用になりました。 - テールピース
ギターのテール部分に金具を取り付けて弦の一端を固定するものです。ボディの表面についているブリッジの場合、弦の引っ張る力は剥がす方向にかかりますがブランコテールピースではそれがありません。全長が短いタイプをAmazonで購入しました。【ノーブランド 品】テールピース アーチトップジャズ ベース ギター ブランコテール ピース 6弦 ギター ブリッジ - エクステンションナット
スライド奏法をする場合ギターに元々ついているナットでは弦高が不足するのでエクステンションナットを元のナットに被せて使います。SCUD エクステンションナット、幅48mm F-3303 - サドル用のボルト
M5×長さ80Lのボルトをサドルの代用としました。元のギターのサドル溝より太い棒でしたら代用できます(棒が溝に落ちなければよいです)。秋葉原のねじやで購入しました。 - ピックアップ&コントロール回路
シガーボックスギター用にピックアップと回路がセットになっているものをAmazonで購入しました。この価格で1VOL/1TONEはお得感あります。Tiamu 事前配線済み 6弦 シングルコイル ピックアップ ハーネス ボリューム&トーンポット付き 電動シガーボックスギター用 エレクトリックシガーボックスギター用 - スチール弦
本当は巻き弦ではなくつるつるのプレーン弦を張るべきですが手元にあったエレキギター用の弦を使いました。マグネットピックアップで音を拾える=磁石につく弦で、ゲージが太すぎないものならよいと思います。 - アウトプットジャック、配線材
- 工具
はんだごて、ペンチ等々
エクステンションナットの取付け
元々付いているナットの上にエクステンションナットを置きます。取り付け方向に注意して下さい。
接着などの固定はしません。
ブリッジサドル用ボルトの取り付け
元々付いているブリッジサドルを外して空いた溝にボルトを置きます。
ブリッジ表面からボディ内部にブリッジアース線を通す穴をドリルで明けます。
アース線はボルトに巻きつけてボディ内部に通しておきます。
テールピースの芯出し、取付け
テールピースを固定する前に弦を仮で張り、1〜6弦が指板上に乗るようにテールピースの位置を調整して決めます。
位置が決まったらドリルでボディに下穴を明けてテールピースを固定します。
コントロール回路の取付け
コントロール回路の取り付けは位置決めが重要です。ボディのサウンドホールから手を入れてトップ板の裏側をさぐり、ブレース(補強梁)が無い部分を見つけます。
裏側から穴を明けられる工具があればよいですが、無ければ表側のだいたいの位置をドリルで掘ります。ポットのシャフトが通る穴径になるまでリーマで拡げます。ジャック穴も同様に明けます。
ジャックのコールドに先ほど通したブリッジアース線をはんだ付けします。
コントロール回路をボディ裏から通してナットで固定します。
ピックアップの取付け
ピックアップのポールピースが弦の下を通るようにピックアップの位置決めをして、ドリルで下穴を明けててネジで固定します。
チューニング、音出し確認
今回はEADGBEにしました。
ネックに負担がかかり過ぎない範囲でお好みのチューニングにして下さい。
シールドでアンプにつないで音が出ることを確認します。音が出ない場合はボリュームコントロールを時計回りに回すのと、ブリッジアース線がホット側に触れていないか確認して下さい。
演奏動画
YouTubeで動画を公開していますので参考にして下さい。
https://youtu.be/frpGIbLYq-w